インプラント治療を受ける前に
インプラントは、1本の歯の欠損から全部の歯がない場合まで広く対応します。美しさ、安定性などのメリットも非常に大きいです。しかし、インプラントは魔法の歯ではありません。過度の期待は禁物です。患者さんがいかに望んでもできないこともありますし、もちろん、施術後のアフターケアも必要です。
インプラント治療を受けることが出来ない可能性がある人
- ○心臓疾患・高血圧・不整脈・糖尿病・肝疾患・血液疾患がある
- 内科主治医と連絡し、十分なコントロールがなされていれば大丈夫です。ただし手術後も、インプラントの状態だけでなくそれらの疾患のコントロール状態もチェックしていく必要はあります。
- ○胃・腸の疾患・腎臓疾患がある
- 重篤でなければ問題はありません。
- ○顎の骨の厚み・量・幅が十分にない
- インプラントは顎の骨に直接埋め込むため、骨の状態(厚みや幅等)により誰にでもできるとは限りません。手術前に口の中の状態を中心にいろいろな検査を行います。
- ○口の中の状態が良くない
- 歯みがきを面倒くさがってやらない人(歯垢・歯石等の汚れが付着している)は要注意です。インプラントは人工の物です。自分の歯でさえ抜歯するほどの虫歯にしてしまうようなずぼらな手入れでは、インプラントもそれ以上早く悪くなってしまいます。
トラブルとリスク
インプラントは外科手術です。他の外科手術を受ける上での問題点と同様、100%安全だということはありません。何らかのリスクを伴う可能性はあります。ここでは段階に分けてインプラント治療でのトラブルを紹介します。
手術前
手術に対する不安・痛みに対する恐怖等精神的な負担
手術時
麻酔のトラブル(唇等の麻痺)
出血
使用器具の破損等
手術後
- 歯根部と骨の結合が不十分(歯根部の周りに骨ではなく肉が巻いている)
- 人工歯部が動きます。手術後間もない場合は自然に脱落することもあります。骨の中からインプラント体を取り出さなければなりません。
- 支台部分を連結しているネジがゆるむ
- ネジを締め直します。
- インプラント歯根部の破折
- 人工歯部が動きます。骨の中から取り出さなければなりません。
- インプラント周囲の歯ぐきの炎症・退縮(インプラントが歯周病になる)
- インプラント周囲の歯垢を除去します。歯みがきの方法を再度チェックします。
歯科医師の技術力だけでなく、患者自身の体調によって不具合が起こることもあります。医療者は当然それを頭に入れて処置にあたっています。
インプラントでもブリッジでも、それを入れたり、作ったりすることが大事なのではなくて、いかに全体のかみ合わせを元の状態に戻すかが問題なのです。かみ合わせの状態がかなり変化しているような場合では、それを治すために該当する歯以外のところも治療しなければならなくなることもあります。それを無視したりすると失敗の可能性が高くなります。
歯科医院を選ぶポイント
インプラント治療は少なからずリスクも伴います。また、どんな入れ歯もそうですが、装着してからどのような変化が歯や歯ぐきに起こるのかを長期的に(死ぬまで)みていかなければなりません。歯科医院のスタッフとは長いお付き合いが必要です。歯科医師だけでなく術後管理の中心となる歯科衛生士に対して信頼が持てるかどうかが大きなポイントです。費用の高低・治療期間の長短等だけで選ぶと失敗する可能性もあります。
インプラント治療にあたっては、まず、口の中の状況を細かく診査していきます。全身の状況についても必要に応じて内科等の主治医と連携します。診査の結果から診断し、治療計画が立てられます。
歯科医院選びのポイント
- 治療をはじめるにあたって、検査内容・治療計画などが分かりやすい言葉でしっかりと説明されているか
- 同意を得ているか
- インプラントだけでなく口全体の状況を1つとしてとらえ、定期的な健診や専門的なケアのシステムがあるか
先生に聞くポイント
- 使用されるインプラントの素材
- 埋め込み手術の際のリスクや事故の可能性
- インプラントを実施することのメリットやデメリット
- 治療期間、費用
不明な点があれば、それが解決できるまできちんと説明を求めなければなりません。
患者としての心構え
歯を失った処置にはインプラント以外にも様々な方法があります。自分自身にとって最も良い方法を選ぶことが大切です。そのためには専門家である歯科医師や歯科衛生士から十分な情報を受けること、自分自身の要求が何であるのかを把握したうえで自分で選択することが大切です。
快適な歯や口の状況はQOL(生活の質)を高めます。長寿社会を迎える今、「噛む」ことは脳の働きを含め全身にとってとても重要です。
「誰かが良いといったから」「あの人もやっているから」といった安易な気持ちで選ぶのは避けるべきです。逆に「危険だ」「恐い」「値段が高い」といった先入観だけでインプラントをみるのではなく正しい情報を持つようにしてください。歯(入れ歯)を使うのはあなた自身なのですから。



